校長室の窓から 1月28日
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  中学3年生のとき、私のクラスに就職先が早々と決まった友だちがいた。彼は就職が決まってから、明らかに授業態度が悪くなった。先生のいる授業は普通に座っているが、ちょっと自習になると私語が始まった。一週間ほどはガマンしていたが、気にし始めると勉強が手につかなくなり、イライラが心の中に重く、日々積もっていくのが感じられた。
 ある日、授業(自習)中にとうとう立ち上がって、後ろを向いて堂々と私語をしている彼に「○○!」と名前を叫んだ。「お前は行く先が決まっとるか知らんが、俺らはこれからや。ちょっと静かにできんか」と強く言うと、彼は真顔になって私語を止めた。それから卒業までの約二ヶ月間、彼は私語をすることがなかった。その間も、毎日のように同じ方向に自転車で一緒に帰る友だち関係は続いた。
 43年も前のことなのに鮮烈な記憶となっていて今も、この時期になると繰り返し思い出す。それは(注意したことは正しいが、注意の仕方が彼を傷つけた)という後悔があるからだ。暑い夏や寒い冬に、高校・大学に通学する電車の窓からから、バイクに乗って工場へ通勤する彼を見かけるたびに、あの時の彼の顔を私は思い出してきた。(怒った俺より、怒られたあいつの方がずっと辛かっただろう…)
 第一希望の私立高校合格、高専合格、推薦合格…。一つの教室の中でさえ、訪れる“春”の時期はそろわない。それぞれが自分にできること、するべきことを見つけ行動してほしい。