9月末に全国の中学校の校長が1800人、北海道(富良野)に集まり、私もその一人になった。小檜山(こひやま)博(はく)氏の講演「ひとりでは生きられない」が特に印象に残った。内容の一部を紹介する。
4人兄弟の末っ子で、山中の村に住んでいた。昭和24年に中学生になり、町の学校まで17kmを徒歩で通った。毎日、朝4時に家を出て帰宅するのは夜8時。まだ舗装した道路はなく、自動車、自転車も見かけなかった厳寒の地、北海道の話である。ケイタイも電話もない。家電製品どころか電燈・水道がめずらしい時代だ。あまりに学校が遠いので、2年生になって町の親戚に下宿させてもらった。その家も貧しく、いつもおなかを空かせていて、夜中に空腹が我慢できず17kmを走って家まで帰ったことがある。家に着いたら午前零時を過ぎていた。戸を敲いて「腹減った」というと「裏に回れ」と母親に言われた。裏に行くとそこで、母親に箒の柄でずいぶんと叩かれた。「13歳にもなって、深夜にお前がいなくなると親戚のおばさんたちがどんなに心配するかが分からんか。これ食ったらすぐに帰れ。言い訳は自分で考えろ」と言われ、みそ汁をかけた飯を食わせてくれた。食うと町まで走って帰った。“自分の責任は自分でとれ”と厳しく教えてくれた親に感謝している。