校長室の窓から 10月7日
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 自宅から電車の駅に向かって歩いていると、私を追い抜いたワゴン車がすぐ前の信号で止まった。窓が開いて、見たことのない2歳くらいの男の子が身を乗り出して私を見つめている。運転席の方から「先生!」と弾んだ声が聞こえてきた。車の中を覗き込むと、運転席に例の看護師(9月8日号)がいて、後部座席に小一の兄、助手席に弟がいた。
 「君がお兄ちゃんか。お母さんが(大好きや)って言うとったぞ。ええ顔しとるなー」と声をかけると、とっても嬉しそうな顔をして座席の背もたれに身をゆだねた。彼女は「先生。私、先生から聞いた話、もう十人には話したよ」と言った。それは、(もう、この兄に虐待はしていないよ)という意味なのだ。
 電車に乗るために一分を争う状態で駅に向かっていた私は、青信号に変わったのを折に「電車に遅れるから行くわ。元気でな」と走り出した。彼女の車も右折して、すぐに見えなくなった。
 10月3日の全校集会では、生徒たちに「家族」について話した。「あなたたちは、自分がうまく生きていけない理由に、両親や兄弟など、家族関係がうまく行ってないことを挙げることがある。しかし、中学生というのは自分で解決していかなくてはならない年齢になってきているんだよ。」