校長室の窓から 9月9日
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 健康診断のために○○病院に行くと看護師が「先生、私、子どもを虐待して困るんや。どなんしたらええ」と言ってきた。私が小学校の教員だった時代に、一年間だけ彼女の学級担任をした。「もう、悪いことばっかりして注意しても止めんから、だんだん手を出すようになったんや。このごろは叩いたり、足でけったりして、毎日、家の中がわやなんや。なあ、先生、反抗期ってこんなん?」
 小学校の低学年で、このような激しい母子の戦いを毎日繰り返しているとなると、単なる反抗期とは考えにくい。健康診断を受けながら、家族のようすを聞いていくうちに「あっ、先生、それや」と彼女が言った。彼女は二人の男の子の母親だ。弟はいい子でかわいくてしかたないけど、兄は憎たらしくてしかたない。だから苛めているというのだ。
 兄は六人(父母、父方の祖父母、母方の祖父母)に可愛がられて育った。これを当たり前とする心の基準線ができた。弟ができた。六人の愛情・関心が弟の方に半分以上流れた。(愛され方が減った)という不安・不満が、親たちに関心を向ける行為をとらせることになる。それには「あっと(悪い行い)」が手っ取り早い。(母親に叱られているうちは、母親の関心は自分に向けられている。愛されているわけではないけれど、無視されるよりはマシだ)こんな悲痛な叫びを、多分、長期にわたって兄は繰り返してきた。
 具体的な改善方法を聞くと「先生、やってみる」と涙ぐんでいた。つくづく、血のつながった兄弟であっても心の相克は激しいと思う。