本校の総合的な学習(人間学習)
(1) はじめに
四番丁校区は,美しい瀬戸内海に面し,古くから交通の要衝,城下町として発展してきた町である。そして,多くの文化人を輩出した学校である。地域の伝統や文化,先輩を大事にしつつ,文化の香り高い地域の子どもたちにふさわしい資質,創造的な個性や豊かな感性を持つ子どもを育て,教育課題に応えていくことが本校の責務であると考えている。
(2) 人間学習の歩み
本校の人間学習のスタートは,昭和63年,全国小学校理科教育研究大会の年,「自然に学ぶ教育」から始まる。この「自然に学ぶ教育」は,身近な自然の観察や体験を重視し,科学的な認識を大事にして自然の巧みさや不思議さに学んで自己の生き方を考える人間学習を軸に,教科,道徳,特別活動の全領域を統合しながら1年生から6年生までの課程で系統的に自己の生き方を確立する人間づくりを行おうとするものであった。
この人間学習は,都市部に位置し,自然と接する機会の少ない本校の子どもたちが,自然にふれたり,豊かな体験をしたりすることで心豊かなたくましい子に育ってほしいという学校課題に基づくものであった。
こうした折,教育課程審議会のまとめがあり,21世紀に生きる子どもたちにとって,社会の変化に対応するための「生きる力」の育成が主張されることとなった。そこで,どうしても,国際化,情報化,文化化,環境の問題,さらにはいじめ・不登校の問題など,数多くの教育課題に対応するため,人間学習の在り方も問い直しを求められた。
そこで,平成10年より生きる力の育成を図る教育課程編成を目指し,教育の不易の部分である学校課題と流行の部分である現代の教育課題の統合を図り,地域の自然や文化に課題や体験を求め,「地域文化をつくる教育」として自然と文化をつなぐ人間学習を展開した。
平成15年になって学習指導要領の一部改正に伴い,「各教科等で身に付けた知識や技能を相互に関連付け,学習や生活に生かし,それらが総合的に働くようにすること。」というねらいが付け加えられた。また,「生きる力」の学力面から,総合的な学習で育てる学力についての吟味も必要になってきた。そこで,16年度から本校における全教育活動との関連の下に,目標及び内容,育てようとする資質や能力及び態度,学習活動,指導方法や指導体制,学習の評価の計画を示す全体計画を作成することに取り組んだ。
(3) 人間学習のねらい
@ 地域を生かし,生きた知識を身に付ける
人間学習は,子ども自らが,身近な自然や地域に関心を持ち,積極的にかかわり,そこに自分らしい課題を見つけて解決し,自己実現を図っていく学習である。地域を単に学ぶ対象として扱うのではなく,地域を子どもが活動するフィールドとして位置づけ,地域の充実や向上に自ら参加し,自分の生き方を探っていくような創造的・総合的な学習をめざしている。
また,人間学習は,現代の教育課題(国際,情報,文化,環境等)の解決を目指す問題解決的な学習である。文化とそれを築き上げてきた人間に視点をあて,国際化,環境等の視点を複合的に取り上げ,各学年で重点課題を設定している。そして,これらの学習の過程を情報の活用や発信過程としておさえ,情報化への対応を図ることとしている。
A自然認識,社会認識を基盤にして人間の生き方を学び,自己意識を育てる
人間学習は,自然や社会とのかかわりの中で人間としての生き方を見つめ,自己の生き方を考えようとするものである。しかも,それは,自然や社会に対する正確な科学的な認識があってこそ成立する学習であると考える。例えば,3年生は,1学期にホタルの成長を調べることを通して,ホタルが自然の中で,様々な障害を克服して成虫になる様子から,自分たちもホタルのように,「困難にも立ち向かえるようになりたい。」という生き方を学んでいく。
また,人間学習のよさは,子ども一人ひとりが自分のよさを生かしたり,友達のよさに学んだりして,個性的に学んでいけるところにある。そのために,自分の伸びを振り返ったり友達と交流したりする場を重視し,自己評価を軸とした学習を展開している。自分のよさをきちんと自覚して,自分で自分を励ましたり,改善したりしながら,自己の生き方を探り,自己意識を育てていくのである。
B 体験や表現を軸に実践力を育む
人間学習のねらいの第四は,体験や表現を軸に,生きて働く力あるいは実践力として学んだことを自分の血や肉とするという学習の側面である。そのためには,子どもたちの学びが,単に抽象的で断片的な知識の獲得に終わることがないよう,体験を重視し具体的に課題解決や自己実現を図っていくことを大切にしたい。子どもたちは,体験を通して学んだことを表現し情報発信をしたり,ときには,行動したりして,学んだことが自分を高め,社会をよりよいものにしていくという実践力を身につけていけると考える。
例えば,4年生では,「さぬき物語館」という学習で,自分たちの地域のよさに気づき,伝統や文化を大切にした生き方づくりを目指す。ここでは,実際にサトウキビを育てさとうづくりを行ったり,和菓子づくりに取り組んだりする。また,他地域の博物館を調べて,自分たちのさぬきものがたり館をよりよいものにし,完成した館に地域の人を招き,讃岐のよさや,地域の一員としての生き方を情報発信していくわけである。