3 本年度の研究主題
(1) 研究主題








(2) 研究テーマ設定の理由

 昨年度までの研究「かかわりを通して,自立への基礎を培う」は,8年間研究テーマとして設定されていた。自立への基礎を培うための基礎・基本の定着については,多くの先生方の努力の結果,ある程度の成果が表れていると考える。

 一方,自分からかかわりを求めて行動したり,かかわることから自他の喜びを意識したりするような姿は,まだ見られにくいときがある。平成18年2月の中央教育審議会教育課程部会審議経過報告をみても,集団とのかかわりで,個がよさを発揮し,個が高まるとともに集団としても高まる学習の必要性は,非常に高い。多くの学校の現職教育テーマになっていることでも明らかである。

 そこで,テーマ前半の「かかわりを通して」は残し,後半部分に使われている基礎という言葉から発展し,子どもの一人一人の表現力が育ち,個性として発揮されるような学習が展開されることを想定して,上記のようなテーマを設定したいと考えた。
(3) 研究テーマについての分析(めざす子ども像)

 @ 「かかわりを通して」学ぶ子どもとは
 よりよい生き方をしていくためには,身の回りの環境から謙虚に学び続け,常によりよい生き方をしていくための新しい情報を獲得していくことが必要である。そのために身の回りの環境に対して知的好奇心,探究心をもち,積極的にかかわる力が大切になる。
 また,人とかかわることも大切である。自分の考えを適切に表現する力,相手の話を聞き,思いを受け止める力を発揮して,自分が学んだことを表出するともに,他者のそれと比較することで,物事を多様に見るよさが分かり,自分の学びを豊かにすることができる。
 「かかわりを通して」学ぶためにはおおよそ次のような過程をとる。

 
    ア 一人一人が自分の考え,思いを表出する。
    イ 友達と考えを伝え合い,自分の考えを修正し,高めたり深めたりする。
    ウ かかわりを通して学んだことをもとに,自分の学びを発展させる。

       (体験,かかわり,実践が豊かになる。知の実践化) 

  
 上記でも述べたように,このような学びを通すことで,子どもの学習内容の理解は豊かになる。ただ,それだけでは,子 どもにとって豊かな学びが行われたとは言えない。

「かかわりを通して」学ぶことで,かかわること自体のよさを味わうともに,自分や他者を大切に思い,お互いがかけがえのない存在であるという認識が深まることも大変重要である。

本校では,「かかわりを通して」学ぶことで,次のような変容もねらいたい。

    集団での学びの楽しさを味わう。
   イ 相手を尊重し,思いやる
   ウ 学習を通して,友達や自分の見方が変わる。(自己理解,他者理解が深まる)


 A「一人一人が輝く」とは

 一人一人が輝くとは,子どものよさ,その子らしさが最大限発揮された姿である。これは言い換えれば,自己表現力が発揮された姿であるとも言える。本校のとらえる自己表現力については,Bで述べたい。
 「一人一人が輝く」ためには,自分にとって追究する価値のある課題を,自分なりの方法で追究・解決し,学んだことが自分のものの見方,考え方を深める学習,自分で学びを深めていくような学習であることが望ましい。

 子どもは自分で学びを進めたとき,「わかる」こと,「できる」ことの喜びを味わい,その子らしく輝くと考える。その意味で,「一人一人が輝く」ためには,子どもが学習の主体者のとなる課題解決的学習でなければならない。上の図は,そのような課題解決的学習を通して,自分らしい学びをし,自分らしさを発揮する「一人一人が輝く」ための学習過程モデルである。


 B「自己表現力」とは

ア 本校の考える自己表現力とは

授業中,何となくは分かっているがうまく自分の言葉で伝えられない子,発表できない子,けんかをしてもうまく自分の主張を言えないためにすぐに手が出てしまう子などの実態を見ると,人とかかわりながら自分づくりをしていくために「自己表現力」は欠かせないものだと考えられる。

  栗林の子どもが,友達や周りの人やものと上手にかかわりながら社会性を培いつつ自己実現を図っていくために,「自己表現力の育成」を最重要課題と捉え,研究の柱に置くことにする。自己表現(力)及び自己表現力を高める子どもの姿については,以下のように考えている。


自己表現および自己表現力について

 自己表現とは,自分の思いや考えを伝えることである。自分の知っていることや考えていること,あるいは自分の気持ちなどを他者に表現することである。しかし,ただ自分の思いや考えを主張することのみが自己表現であるとはとらえたくない。相手の考えや思いを汲み取って行動したり表したりすることも含めて自己表現であるととらえたい。したがって,相手の意向を理解し,自分の思いや考えを伝えることが自己表現であると考える。

  主テーマ「かかわりを通して,一人一人が輝く」ためには,自分の気持ちや考えを伝えたり,自分の意志を示したりする自己表現力の育成が必要だといえる。自分の力で自分の思いや考えを表現できることを通して,他と主体的にかかわり,共に学び合い,その子どものもつ個性,よさが発揮され,輝くのである。

イ 自己表現力を育成する3つの段階

 自己表現力は,次のような3つの段階がある。

それぞれの段階で,意欲の高まり,意識,技能が必要である。子どもが自分の思いや考えを表出できるような表現物,交流の場,環境づくり等の工夫,教師の指導や援助を通して学習の中で育てていきたい。

    @ 体験・活動を通して学んだこと,自分の思いや考え方を自己表出する段階
   A 表出しようとする自己が相手に伝わるように表現する段階
   B 表出されたものを理解し,自分の考えを修正し,高める段階


4 本年度の研究の重点と研究方法

(1) 研究の重点
 @ わかる授業の工夫と評価(授業力向上を目指して)

 A 人権・同和教育の充実

 B 地域協働学習の開発


(2) 研究方法,内容(教師の自己表現力向上を願って)

@ 研究授業

・校内研年間3回 桜町中ブロック研1回

・各学年団2本(年間計画参照)

今年度も学年団研修を母体研究を進める。その際現職教育推進委員会および研究部が,企画・立案,実践上の推進に努める。

A 個人研究テーマ
      ・研究テーマで自分の担当する教育活動を見直し,実践レポート(A4…4枚以上,偶数枚)を執筆する。
        一人一人の教師の研修意欲と日常の実践を重視し,研究主題にもとづいて実践を積み上げていく。
     そのために,研究副主題を受けて個人研究テーマを設定し,研修の活性化を図る。

B 団研修(週1回)

・地域協働学習の開発
        →ふるさと教育,キャリア教育の開発
        →地域や家庭との連携の推進
 
          →学校評価システムの一翼を担う

・単元計画,表現物(ポートフォリオ)計画の見直しによる人権・同和学習の充実 

    →国語力育成につながる

・各学年団活動を研究テーマを受けて,見直す。

 C 人権・同和研修

・人権・同和教育についての教員研修として現地研修を入れる。

                 

(3) 研究授業と実践発表について
@ 学年団部会において,事前研修を適宜開き,研究内容の充実と深化を図る。その際,必要に応じて教科主任の先 生にも参加してもらうようにする。
A 実践記録や個の変容の記録を残し,研究の反省と評価の資料にする。 
B 基礎・基本を身に付ける学習の研究については,各教科主任と連携を図りながら理論と日常の実践を交流しつつ,児童に力が付く実践を模索する。

(4) 教育課程の評価と改善
@ 全職員による評価を行い改善する。日々の学校生活の中で,より多くの角度や手法で,児童一人一人の能力・適性・課題などの実態を的確に把握し,児童一人一人が自分のよさや可能性に気付くように教育活動の場の設定を行い,実践結果を分析し改善していく。

A 総合的な学習の時間や様々な体験活動を設定するなどして,より多くの指導者の目で,児童一人一人の変容を見つめ,生きる力や豊かな心の育成が図られるよう評価し,修正する。

B 少人数指導の授業形態を取り入れ,少人数による個別化授業を試みたり,T・T等複数教師の目で,一人一人の児童のよさを見つめ,長所をよりよく伸ばすことができるよう支援する。

 

(5) 学級経営の点検と評価
@ 目の前にいる児童の実態をふまえ,学年始めに立案した学級経営計画を積極的に評価し,修正しつつ進めていく。
A 学期末には一人一人が学級経営を自己評価しながら,子どもの意識と学年の課題,保護者の要望を取り入れながら,学級経営の改善に努める。

(6) 校外や地域に開いた研修
@ 「開かれた学校」づくりを推進し,現職教育での成果を開かれた学校づくり推進委員会で発信する。学校が学校教育の場としてその役割を明確にし,教育活動を保護者や地域社会にまでしっかりと示していくことが「説明責任」の視点からも重要である。保護者や地域社会との協力・連携を図り教育活動が進められるための研修ももちたい。
A 新しい教育課題にもとづく子どもの多様な疑問に応える活動を展開したり教材開発したりするため,教師の視野を可能な限り広げられるような,資質向上につながる研修を行う。

 「かかわる力」各学年到達目標