川島の祭り
 
氏神様のおまつり
(1) 春祭り
  4月の中ごろに行われる祭り。五穀豊穣(ごこくほうじょう)(米,麦などの作物がたくさんとれること)を願って行われる。昔は境内(けいだい)に店もたくさん出てにぎわった。子どもたちにとっては特別にもらったこづかいでお菓子や遊び道具を買うなどの楽しみの一つであった。農機具,みの笠などを売る店も出ていた。       
 

(2)夏祭り

 7月の末ごろ行われる祭り。夏越し(なつこ),輪越(わこし)しともいわれる。茅(かや)で直径二メ〜トルぐらいの輪を作り参道(さんどう)に門をこしらえる。この輪をくぐってお参りすると,夏の病気にかからないといわれている。松宇神社では,「さとう切り」という小麦粉を水でねり砂糖を加えて作ったお供えのおすそ分けをくれる。今もこれは続いていて,参拝客は(さんぱいきゃく)この「さとう切り」を食べて,悪病(あくびょう)のがれをする。
 
(3)秋祭り
 10月の初めから中ごろにかけて行われる祭り。
 大祭の行事の中心になる家のことを陶屋(とうや)という。陶屋の家では,お祭りの少し前に氏神様を迎える準備をする。御(ご)幣や(へい)扇,(おうぎ)麻(あさ)をさらした緒(お)をつけたのぼりを立てたり,神馬(しんめ)をつなぐ囲いを作る。座(ざ)敷(しき)には神座を用意する。宵祭(よいまつり)りの前日には,神官が神様をお迎えして,儀(ぎ)式(しき)を行う。
 氏子の各(かく)免(めん)場(ば)には,獅子組という獅子(しし)舞(まい)をする若者の組がある。お祭りの前には各組で獅子舞の練習が始まる。獅子舞は鐘(かね)や太鼓(たいこ)で踊る勇ましいものである。獅子組の中には,「きょうくち」という踊りをする組もある。子どもたちも練習に参加して若者の仲間入りの下地を作った。練習の後の夜食も楽しみの一つであった。
 宵祭り(よいまつ)から本祭りにかけて,獅子組は商家や陶屋や各家を一軒一軒回って「家づかい」をする。各家では,ご祝儀を出してお礼をする神殿(しんでん)での儀式が終わると各組が拝殿(はいでん)の正面で舞(まい)を奉納(ほうのう)する。みこしが長い時間かけてお旅(たび)所(しょ)につき神(しん)事(じ)が終わるとみこしの前で全部の獅子組がそろって獅子舞をする。この後,各組で胴(どう)破りといってお酒や料理を食べる。  
 各家では,家を手入れしたりそうじをしてお祭りを迎えた。玄関先には家(か)紋(もん)入りの提灯を飾る。(ちょうちん) そして結婚による親せきや兄弟姉妹をよんでごちそうをした。これをおまつり礼という。以前はあまり食べられなかった魚の煮付けや,野菜やえびのてんぷら,かきまぜずしなどのごちそうを作り,お酒を飲んだ。普段会えない親せきとの楽しい交流の場であった。
 みんなでお参りにでかける時には,女の子は長い袖(そで)の晴れ着にぽんぽん下駄(げた)を履(は)くなどみんな着飾ってでかけたものである。最近は,土,日曜日や祝日にお祭りをするところが多く,同じ日のお祭りとなり,おまつり礼も少なくなって来ている。
 お祭りの日は学校は休みになった。露店は子どもたちにとって最大の楽しみであった。戦前は何十軒も露店がいっぱい出ていた。露店には,飴(あめ)やコンペイトウ,アイスクリンや綿菓子などのふだん食べられないお菓子がならべれていた。輪投げなどの遊ぎの店も出ていた。足ふみ脱穀機(だっこくき)や牛鍬(うしくわ),けんど,箕(み)などの農機具などの店へは大人が足を運んで特徴などを訪ねたりした。お祭りのおみやげに白い飴がよく買われていた。もろぶたいっぱいにかためられた飴の上に黒ごまを散らしたもので,これを分厚い包丁で切り,竹の皮に包んでもらい家に持ち帰っていたものである。このようににぎわった秋祭りも現在は獅子組の数が減り,露店も減ってきている。