◎ 入所者自治会前自治会長Sさんとの学習会

  Sさんは,これまで入所者が受けてきた差別の実態や大島での生活の実態について自分の思いを含めながら,入所者の代表として語ってくれた。「ここにいる入所者はだれしも厳しい差別やここでの苦しい生活の中,一度や二度は死ぬことを考えた。」「これまで一人ひとり,人間としてまともに生きてこられたことが自慢である。」「『らい予防法』がなくなって頭の重石がとれ,一人ひとりの頭がやっと青空とつながり,太陽を浴び体が軽くなったような爽快感があった。」という話の中に,これまで入所者が受けてきた差別の実態,強制収容のこと,家族との離別のこと,偽名のこと,患者作業のこと,自由が奪われたことなど辛かった過去に対する思いがこめられていることを強く感じた。
  Sさんは長い間入所者自治会の会長や全国の入所者の組織である全国ハンセン病患者協議会(全患協)の会長として「らい予防法」廃止を求める運動や療養所での入所者の待遇を改善するための運動(職員の増員,外出制限の緩和,退所者対策,らいの呼称廃止など)の中心となって活動してきた。この学習会では,全患協結成以来43年にわたって入所者の人権獲得や人間回復のために闘い続けてきたSさんの熱い思いにふれることができた。


◎感想(思ったことや考えたこと)

  Sさんの話で心に残ったのは,入所者の人権回復を願って「らい予防法」を廃止しようと活動してきた話です。国会の前で座り込みをした話,全国組織の代表として活動してきた話,全国の療養所を回り入所者全員の意見をまとめようとした話など,どれもがハンセン病で苦しんできた人たち全員のことを考えた行動で,その熱意に感動しました。
  また,学習会の最後でSさんは,「ハンセン病に対する偏見はまだまだ残っている。君たちみたいな若い子がハンセン病のことを学んでくれることはうれしい。大島で学んだり考えたりしたことを他へも広げてほしい。」と話してくれました。ぼくはこの話を聞いて,大島を出て中学校へ行ってまちがった考え方の人がいたら,正しい知識を伝えたいと思いました。(6年男子児童の感想)