ハンセン病問題学習のまとめ(10年度)

◎ 1年間学習の経過
  ぼくたち5.6年生は,ふるさと大島の時間に「ハンセン病問題学習」を進めてきました。
まずはじめにしたのが,ハンセン病のとくちょうやハンセン病の歴史について調べました。昨年,孝ちゃんや一ちゃんや太ちゃんが調べたことを聞いたり,本やビデオを見たりして調べました。そして園長先生の話を聞いて,もっとハンセン病のことについて知ることができました。
 次はMさんから話を聞きました。Mさんからは大島での生活の様子や同好会活動のことについてのお話をききました。2学期には庵治小学校との合同学習で副園長先生や入所者自治会長Sさんのお話を聞いたり,ケースワーカーさんとの学習会で青松園のはたらきや青松園の歴史についてのお話を聞いたりできました。3学期には,入所者自治会機関誌「青松」のNさんとの学習会,Sさんとの2回目の学習会,ケースワーカーさんとの4回目の学習会を行いました。この3人との学習会では,3人が,ハンセン病に対とのする差別や偏見をなくすためにどのような活動をしてきたかを聞くことができたし,3人が未来の大島についてどのように考えているかを聞くことができました。(5年 男子)
◎ Nさんとの学習会
  Nさんから話を聞いた目的は,「ハンセン病の差別や偏見の解消を願って入所者のみなさんがどのような活動をしてきたか。」ということと,「未来の大島や青松園についてどんな願いをもっているか。」を聞くことでした。Nさんは,青松という本をつくってきました。青松は50年前に入所者の人がつくりはじめ,今までずっと作り続けて2月で545号になったそうです。青松をつくってきた目的は2つあって,その一つは入所者のみなさんがつくった詩や短歌などの文芸作品を発表することで,もう一つはハンセン病のことや入所者のことを他の人に知ってもらうことだそうです。「青松をつくってきてよかったと思うことはありますか。」という質問で,Nさんは「青松をつくることで自分たちのことを外の人に知ってもらえた。」ということや「青松をつくることで青松園や入所者一人一人の歴史を残してこられたことがよかった」と答えてくれました。Nさんはこれからも青松を作り続け,600号までは出したいと話してくれました。Nさんは未来の大島に対してどのような願いをもっていますかという質問には,「この青松園で生涯をおえたい。」「将来,大島は自然公園になればいい」という思いを話してくれました。私も将来大島が自然公園になったらいいなあと思いました。私は,Nさんのお話を聞いて,一つのことをずっと続けることの大切さを学ぶことができました。私もこれから目標を決めて,それをずっと続けていきたいと思いました。(5年 女子)
◎ ケースワーカーKさんとの学習会
  ケースワーカーさんとの4回目の学習会は,「ハンセン病に対する差別や偏見をなくすためにはどのような考え方が必要か。」を知るために話を聞きました。ケースワーカーさんは,「ハンセン病に対してまちがった考え方をしている人に,ハンセン病のことを正しく理解してもらいたい,ハンセン病で苦しんできた入所者のみなさんのことを知ってもらいたいと思い,いろいろなところで話してきた。」と話してくれました。ケースワーカーさんの話で心に残ったのは,ハンセン病の歴史や差別について知るよりも,病気で苦しみながらも懸命に生きてきた入所者の人たちのことを知ってほしい。」という話でした。ケースワーカーさんも多くの入所者のみなさんとかかわる中でいろいろなことを学んできたと話してくれました。私ももっと入所者のみなさんと交流したいと思いました。 
  次に心に残ったのは,「人権の学習は,差別はいけないということだけを考えるのではなく,人として生きるために必要な学習だ。差別について知識として知るだけでなく,その学習で思ったこと,考えたことをこれから生きていく中で大切にしていってほしい。」という話でした。私もそう思いました。また,ものを見るときには,「いろいろな角度から見ること大事。」という話も心に残りました。ハンセン病も偏った考え方が原因で差別が起こりました。自分の生活の中でも,あの人は悪い人だ,あの人は嫌いだときめつけないでいろいろな見方でその人のことをみたいと思いました。私は,1年間のハンセン病問題学習で学んだり,ふれあい学習で入所者のみなさんと交流しながら学んだことや考えたことをわすれないようにしたいと思います。(5年 女子)
◎ 前自治会長Sさんとの学習会
 ぼくは5年生になった時,ハンセン病のことは全く知りませんでした。5年生からハンセン病のことを学ぶようになって,はじめてSさんの話を聞いたとき,「ここにいる入所者は一度や二度は死ぬことを考えた」という話や「これまでの大島の生活でまともに生きてこられたことが自慢である。」という話,「らい予防法がなくなって頭の上の重石がのいて軽くなった。」という話を聞いて,入所者のみなさんに対する差別の厳しさについて初めて知ったし,大島での生活の苦しさを感じることできました。それからもNさんやMさんからハンセン病の話や大島での生活の話,これまでの辛かった話やこれまでがんばってきたことの話などたくさんの話を聞き,いろいろなことを学びました。
  そして,この間,もう一度Sさんのお話を聞くことができました。Sさんからは,「らい予防法」を廃止するためにどんな活動をしてきたかを聞くことができました。法律に反対するために座り込みをした話,全国組織の代表として活動してきた話,全国の療養所を回り入所者全員をまとめようとした話など,どれもがハンセン病で苦しんできた人たち全員のことを考えた行動で,その熱意に感動しました。ぼくも,Sさんのように,みんなのことを考えた行動をとりたいと思うし,自分がしようと決めたことは最後までやり遂げられるようにしたいと思いました。また,学習会の最後でSさんは,「君たちみたいな若い子がハンセン病のことを学んでくれることはうれしい。学んだり考えたりしたことを他へも広げてほしい。」と話してくれました。ぼくはこの話を聞いて,中学校へ行って,もしまちがった考え方の人がいたら,偏見をなくしてもらうよう正しい知識を伝えたいと思いました。(6年 男子)
◎ 2年間のハンセン病問題学習で学んだこと
 ぼくは,2年間のハンセン病問題学習でいろいろなことを学びました。
 1つは,差別は絶対に許さないということと人権を大切にするということです。入所者のNさんやSさんからいろいろな差別を受けた体験談やその時の気持ちを聞いたり,ケースワーカーのKさんから入所者やその家族が差別によって苦しんできた話を聞いたりしました。人を苦しめたり,人権を無視し,人を死に追いやったりする差別は絶対に許さないと思いました。
 2つめは,正しい知識を知ることが大切だということです。ハンセン病に対する差別は「遺伝病」,「天刑病」という間違った考え方が原因だいうことを学びました。「らい予防法」が早くなくなり,みんながハンセン病に対する正しい知識をもっていたら,こういう差別はなかったと思います。ぼくは,ハンセン病についての正しい知識を学びました。もし,間違った考え方の人がいれば,正しい知識を伝えていきたいです。
 3つめは,目標をもっていきることの大切さを学びました。入所者のみなさんは,差別や大島での苦しい生活の中にもめげず,たくましく生きてことを知り感動しました。Nさんは,ハンセン病を正しく理解してもらうことと,入所者のことを外部の人に少しでも分かってもらうために,50年も前から「青松」をつくってきました。手や足が不自由になっても本をつくり続け,600号まで出したいという強い意志に感動しました。ぼくもNさんのようにどんな困難があっても目標をもって取り組みたいと思いました。
 4つめは,人との出会いを大切にすることや人を大切にするということです。入所者のみなさんとのふれあい学習を通して,入所者の気持ちを知ることができたし,入所者のみなさんがぼくたちとの交流を楽しみにしてくれていることを知りました。これからも入所者のみなさんと交流を続けていきたいと思います。
 今年,ぼくは中学生になります。中学校へ行ってもハンセン病問題学習で学んだことや入所者のみなさんと交流しながら学んだことを大切にしたいと思います。そして,大島で育ったこや庵治第二小学校で学んだことを自信をもって語りたいと思います。(6年 男子)